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【3月24日=バグダッド発 その11】

▼3月26日(日)午前8時~ TBS「サンデーモーニング」
http://www.tbs.co.jp/sunday/

※きょう(24日)電話インタビューを収録。バグダッドから映像も少し送ったので、恐らく使われているはずです。

▼3月26日(日)午前10時30分~ テレビ東京系列『森達也の ドキュメンタリーは嘘をつく』
http://www.tv-tokyo.co.jp/literacy/060326.html

※先月インタビューを収録したので、番組中のどこかで少し登場するはずです。登場しなかったらボツになったと思ってください。

▼「Little Birds イラク戦火の家族たち」のDVD
http://www.littlebirds.net/dvd/dvd.html

24日(金)に発売されました。2枚組みDVDの「特典映像」として、映画・テレビ未公開映像も収録しました。以下全部で7項目・56分の映像です。

1 ハディールのその後----------クラスター爆弾で右目を負傷した12歳の女の子

2 サクバンのその後-----------空爆で3人の子どもを失った父親とその家族

3 日本のNGO活動のその後----日本国際ボランティアセンターのイラク医療支援

4 陸上自衛隊@サマワ---------自衛隊はサマワで2年間何をしていたのか

5 狙われた報道陣-------------バグダッド取材中に起きた攻撃

6 取材中の綿井健陽

7 〈短編映画〉あのフセイン像を倒した男たち

※このDVD収益の一部は、イラク医療支援を続ける日本のNGO団体「JVC」http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/iraq/index.htmlと、「JIM-NET」 http://www.jim-net.net/に寄付されます。

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昨日こちらから送ったメールに、以下のあいさつ文を書いた。

『3年前、米英軍の空爆にさらされたこの街はいま、幻の『戦後』と占領を経て、今度は形を変えた抗争が始まり、「闇の中の内戦」ともいえる対立に市民たちはさらされています。「イラク戦争」は終わる気配すらありません。』

しかし、本当に見た目よりも、想像以上に、恐ろしい街になっているぞ、バグダッドは。

きょう(24日)、映画に出てくるクラスター爆弾で右目を負傷したハディールの家族を、通訳のイブラヒムに訪ねてもらった(バグダッド市内南部ドーラ地区)。

母親とともに、彼女はアバヤと呼ばれる黒い服を着ていた。喪に服していた。彼女のおじが何者かに殺害された(時期は不明)からだ。彼の家の前で射殺されたという。さらに昨夜は、ハディールの家のすぐ近くで襲撃事件が起きて、家の中にいた女性とその息子が負傷。一人が死亡したという。

アリ・サクバンの家族もそうだったが、いま子供たちを外では遊ばせないという。ハディールも学校の往復以外では外に出ないという。彼女の学校で警備員をしている父親モハセンが、学校からの帰りを付き添うという。

彼女の右目はまだクラスター爆弾の破片が入ったままだ。2年前と同じく、読書や勉強をするときに目の下のあたりが痛くなるという。中学2年生になった彼女だったが、「家で座っているか、勉強をするか、テレビを見るかの毎日です」と話していた。おじが殺害されたことのショックと合わせて、憂鬱な表情だった。

サクバン家族も、ハディール家族も、みんな浮かない表情だ。本当に「バグダッドの街」を怖がっていた。

以前(04年11月)、僕は以下のようなことを書いた。http://www1.odn.ne.jp/watai/041110.htm ちょうどそのとき、「Little Birds」の編集で最後に悩んだのは「エンディング」だった。「終わらせ方」だった。

映画監督の是枝裕和さんが何かのインタビューで言っていたと思うが、「ドキュメンタリーは終わり方が難しい」。

確かにそうだ。その取材・撮影でも、始まりではなくて、どこで、どうやって終わらせるのかが、最も難しいところだ。これはいつも同じ。始まりはかふいに、突然、何気なく始まることもある。「よし」と気合を入れて撮影を始めたりもする。

問題は終わるときだ。

映画や番組、活字のルポでも、写真集でも、それ自体には「終わり」がある。終わりのシーン、終わりのページ、必ず物理的な「最後」がある。そこで、どうやって「最後」を終わらせるかを考える。取材も同じだ。どこで取材を終えて書き始めるか、あるいは編集を始めるかというときが必ずやってくる。「何かがわかった」「これが結論だ」というときなのか。単に時間との問題、金銭面の問題、締め切りの問題、放送日の問題、ということだってある。

しかし、世の中で実際に起きていることは「終わらない」。映像や写真に映っている人たちは、その後の生はいかなる形であれ「続いていく」。こちらが書いている間も、編集をやっている間も、ことは進んでいる。ときに良い方に。ときに悪い方にも。

「Little Birds」の最後は、夜の自動車爆弾事件のシーンだ。最後は真っ暗になって、救急車のサイレンと叫び声だけが鳴り響いている。

当時、イラクの状況に「安易な希望」を見出すことはできなかったので、あえて「暗闇」で終わらせた。しかし、そのとき以上に、いまはもっと深い暗闇の、しかも出口ではなく、入口にさしかかっているのかもしれない。

外国人にとってだけでなく、バグダッドで暮らす人たちにとって、本当に見た目よりも、想像以上に、恐ろしい街になっている。

バグダッド市民はいま、「地獄への待合室」で暮らしているのか。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
全国各地で上映中
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2006-03-25 02:19  nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(1) 

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コメント 3

スリーエス

「負傷」「襲撃」「死亡」という短い単語のなかに、その人自身のこれからの人生や、家族の人生があって、それは続いていくのだ・・・ということを昨年、綿井さんの撮られた『Little Birds』を観て深く感じました。今日、『Little Birds』のDVDが届きました。特典映像も楽しみですが、自分のなかで、イラク戦争やその他の出来事を勝手なオチをつけて終わらせないためにも、またじっくりと観たいと思います。
by スリーエス (2006-03-25 10:15) 

三人の子供の親

『Little Birds』が届きました。早速、3人の子供達と一緒に拝見しました。小学生の子供に戦争とは平和とは幸せとは...口では何度となく話してきましたが、、『Little Birds』を見終わったとき子供達の心の中で大きく感じるものがあったようです。子供は、何故戦争をしなければいけないのか…何故罪もない市民が傷けられるのか理解できないようでした。でも、今も同じ時間におびえ苦しむ人々が居る事を知り、命の尊さと幸せについて会話する事が出来ました。
by 三人の子供の親 (2006-03-26 11:32) 

Cheap Air Jordan

粘り強い闘魂は、度重なるテストのに成功した。
by Cheap Air Jordan (2011-01-12 12:06) 

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