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【ベイルート発 その7】

レバノン情勢はまずい展開になってきたようだ。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/middle_east_peace_process/

きょう(30日・日)は、朝起きて9時のテレビニュースでレバノン南部カナ村が空爆されたことを知る。そこから15キロほど離れた南部の大きな街スールに日本人で唯一入っているカメラマンの嘉納愛夏さん(雑誌「フライデー」に写真が掲載されている)に電話した。

先週末に嘉納さん、宮嶋茂樹さんと一緒に一台500米ドル(!)もする車をシェアして南部の街スールに行った。嘉納さんはそのままスールに残ったので、カナの現場で写真を撮っているはずだ。すごい! こんなとき後から「もし残っていれば…」と思ってももう遅い。目撃者は必ずそこにいなければ、写真も映像も何も記録は残せない。

こちらは今日(30日)午後、ベイルート市内でタクシーに乗っていたら、ラジオから「市内の国連本部前で大規模デモ」のニュースが聞こえ、取材予定を変更して国連本部に向かった。

最初は少なかった群衆も、途中からどんどん増えて、国連本部入口に殺到して窓ガラスを破壊。投石を繰り返して国連本部の中に群衆が侵入した。UNマークの看板は倒されて、群衆が掲げる紙には「UNはイスラエルの『虐殺公式スポンサー』だ」と書かれている。

イスラエルへの非難はもちろんだが、レバノンの市民、特にはシーア派の人たちはアメリカ、さらにはサウジアラビア、ヨルダンなどの親米国へも同じように非難する。イラクも湾岸戦争後の経済制裁がずっと続く中で国連に対しては地元の人たちも批判することが多かった。こちらの国連スタッフもイスラエルの空爆で殺害されるなど、レバノンでは「UN」マークがだんだんと窮地に追いやられている。

きょうはUNマークの看板が倒された後、群衆に何度も踏まれていた。そして男はこう叫んだ。

「恥の連合!」

ヒズボラは「カナの虐殺」に対して大規模報復を誓っている。もしヒズボラが攻撃を強めれば、イスラエルは恐らくそれに対してまた大規模な空爆や侵攻を仕掛けるだろう。外交プロセスで打開策が見出せない中、実際の戦争は待ってくれない。待たないどころかエンドレスで悪化する。まずい展開の入口にさしかかったのか。

共同通信から先日(27日)に配信した原稿の最後の部分で書いたが、南部スールからの避難民アフマド・バダウィさん(40)が言っていた。

「私たちにとっての『本当の戦争』はこれから始まる」


群衆に倒される直前の国連本部の看板(7月30日=ベイルート市内で)

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
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2006-07-31 01:29  nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(1) 

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コメント 3

kimura

・・また空爆で多くの民間人が犠牲になってしまったのですね。
(しかも大半が子供のようですね・・・)
これまでのレバノン側の犠牲者は多くが民間人のようですね。
イスラエル軍の誤爆という報道もありますが、本当にこのタイミングで
誤爆なのでしょうか・・?どちらにしても、これからますます情勢が悪化していきそうですね。終わりがみえないだけに・・・とても心配です。
by kimura (2006-07-31 03:51) 

M.Murata

昨日、広河さんのレバノン緊急報告会が開催され、
1982年9月18日シャティーラ難民キャンプで起こった大虐殺を映した8ミリ他計3本の映像が流され、現在の状況と絡ませた講演が行われました。
当時のことについて未だに謎のままのことが幾つかあるとして話されたましたが、もっぱら国際勢力についてでした。「PLOの撤退を見届け残されたパレスチナ難民の命の安全を守る」という約束のもと、国際平和勢力としてフランス軍、イタリア軍、アメリカ軍が1982年レバノンに入りました。しかし約束は守られずPLOの撤退を見届けた後3つの軍隊は撤退し、虐殺事件が起こりました。また事態の調査委員会が設置され報告書がAとB,2つ作成されたのですが、Bの内容については未だに秘密になっているとのことです。
 レバノン市民の「恥の連合」という怒りの裏にはこれまでの歴史があるのです。今回の状況についても国際勢力がどう絡んでいるのか注意してみなければならない、講演の中でいわれました。
 最初の8ミリ映像はオスロ、ジュネーブで開かれた国際公聴会の証言として作成されたもので、広河さんは英語でナレーションを入れています。そのなかで「World betrayed Palestines.」という言葉があります。
世界はパレスチナ人を裏切った。

即座に「ホテル・ルワンダ」を思い出しました。
映画の中で虐殺現場を撮影した報道カメラマンに対し、
ホテルの支配人が言います。
「これを見たら誰かが助けに来てくれる」
その淡い希望に対し返された言葉は
「『恐いね』と言ってディナーを続けるだけだ」
by M.Murata (2006-07-31 07:19) 

らっ子

その「恥の連合」の一部に、日本もだんだん足を深くつっこんできています。
民衆に踏みつぶされたUNの看板が、日の丸にならないよう、一時も早く独自の外交路線をと思わずにいられません。

空自の輸送機が31日、任務拡大で初めてバグダッドに多国籍軍の兵士を輸送して乗り入れたそうです。今後は国連や多国籍軍の支援のため危険地域にも輸送を続けるわけですが、UNの看板が踏みつぶされた事実を政府はどう受けとめているのでしょうか。

こうして私自身、カナで犠牲になった子ども達への空爆に、いっそう深く手を貸していくことになります。これが平和憲法を持った国のすることかと情けなく悔しいです。
by らっ子 (2006-08-01 14:37) 

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