30日(土)放送「ETV特集」のお知らせ
▼12月30日(土)午後10時~11時30分放送
NHK教育テレビ「ETV特集」
http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html
「2006年夏 戦場からの報告 ~レバノン・パレスチナ~」
http://www.nhk.or.jp/etv21c/update/2006/1230.html
【取材・撮影・スタジオ出演】
古居みずえ(レバノン)
土井敏邦(イスラエル・パレスチナ)
綿井健陽(レバノン)
【解説】臼杵陽・日本女子大学教授
【キャスター】森田美由紀(NHK)
【構成】宮本康広(NHKエデュケーショナル)
【編集】熱海鋼一
【制作統括】東野真(NHKエデュケーショナル)/塩田純(NHK文化・福祉番組)
※今年10月に東京で行ったJVJAの緊急報告会「パレスチナ・レバノンで何が起き、どうなっていくのか」での映像をベースに編集・制作されました。ぜひご覧下さい。
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ひょっとすると、これが今年最後の更新になるかもしれない。
昨日(26日)でNHKでの編集作業が終わり、スタジオ部分の収録も完了した。
「こんな番組、今度はいつテレビでできるかな?」
収録が終わった後、土井さん、古居さんと、しみじみ苦笑いしながらそんな話をした。それぐらい、レバノンやパレスチナの報告をテレビ番組で企画実現させることはいまむずかしくなっている。今回はまさにNHKだからこそ、90分も使って制作できた。民放で中東情勢を90分枠で放送するところなど、地上波では絶対にない。
先日、東京新聞(12月21日付)の読者投書欄に、テレビ番組に対するこんな意見が掲載されていた。ある意味でいまテレビを何気なく観ている人たちの平均的な感覚に近いかもしれない。
「『報道ステーション』(12月15日放送) ベトナムの現状を伝えた際、赤ちゃんの遺体を液体に入れて保管している場面が映され、気分が悪くなってチャンネルを替えてしまった。その場面がなくてもベトナムの悲惨さが伝わる良い特集だっただけに残念だ。」(25歳・女性・家事手伝い)
これは僕もたまたま観ていたのだが、ベトナム戦争でアメリカ軍がまいた枯葉剤の被害を受けたドクさんの結婚を採り上げた特集だった。
今年夏に僕が取材したレバノンの映像を民放ニュース番組で放送したが、僕の映像ではなくて、通信社の配信映像でレバノンの空爆被害を受けたシーンで子どもの遺体の映像が流れたとき、やはり視聴者から同じような苦情が届いたという。
「食事どきにこんな映像を流すのはやめてほしい」
テレビ番組で必ず出てくる視聴者からの典型的な苦情だ。だから逆に料理番組やおいしいお店・料理紹介コーナーばかりが増えるんだ。なぜか映画上映ではこれまで一度もない(そもそも、映画館や上映会で、観ながら食事をする人はいないということもあるが)。だが、こういった苦情に関して取るべき方法は一つしかない。無視すればよい。あるいはこう言うしかないと僕は思っている。
「食事する手を止めてでも、観てほしいんです」
そう言ってダメなら観てもらうことをあきらめるしかないだろう。
一方で、前述の投書の内容にはもう一つ重要な部分「その場面がなくてもベトナムの悲惨さが伝わる良い特集だっただけに残念だ」がある。
これは難しい問題だ。
僕もテレビのニュース番組で遺体や死体の映像を使う際、何度も「モザイク処理」をしたことがある。正確には僕が決められる権限をもっているのではなく、番組のディレクター・プロデューサーが判断して決めるわけだが、最後はいつもみんな渋々「まあ、やっぱり(モザイク)かけときましょうか…」となる場合はほとんどだ。
だが、僕はその部分がたとえモザイク処理になったからといって、他の映像部分も含めて取材・撮影した内容が完全に損なわれるとは思っていない。それが映せないなら放送をやる意味がないと思ったこともない。もし本当にほかの部分も含めて、まったく意味がないと思えばテレビでは絶対に放送しない。その部分を映さなくても「伝えたい本質的なこと」がちゃんと伝えられるかどうかは、伝えたい人がどう思うかにかかっている。視聴者がどう思うかは二の次だ。しかし、戦争報道において遺体や死体を映さず、触れずに済ますことはできないときだって絶対にある。
今度放送する「ETV特集」だが、同じ時間帯で放送される番組は、「チャングムの誓い・総集編」、みのもんた、久米宏などが登場するドラマ・バラエティ・情報番組ばかりだ。ETV特集を観る人の絶対数は本当に少ないだろう。「食事どきにこんな映像を流すのはやめてほしい」という人は最初から観ないか、あるいは観ていても途中でチャンネルを変えてしまうだろう。
でも、いま世の中で起きていることは、そんなにいまのテレビ番組のような「笑ってるか、食べてる」ばかりではない。年末の帰省中の時期なので家族みんなでテレビを観る家庭も多いと思うが、もう一度言う。「食事をする手を止めてでも、なんとか観てほしい」
もう一つ、以前何度かこの欄でも書いたが、ドキュメンタリー映画「ダーウィンの悪夢」http://www.darwin-movie.jp/が東京・渋谷で公開中だ。これから全国の映画館でも順次上映されるので、これも絶対に観ておいてほしい、知っておいてほしい。http://www.darwin-movie.jp/theaters.html
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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai
映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
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>その場面がなくてもベトナムの悲惨さが伝わる良い特集だっただけに残念だ。
東京新聞で読んで以来、引っかかっています。それが何なのかよく説明がつかないまま。
受け入れられる悲惨さと、受け入れられない悲惨さがあるとしたら、受け入れられる悲惨さとは何なのかと。
受け入れられない悲惨さこそが現実の状況かもしれないのに…。
投書の女性だけでなく、私自身にもつながる問題として考えなければと思います。
by らっ子 (2006-12-28 16:31)
こんにちは。この記事、転載かリンクさせていただきたいのですがよろしいですか。この番組を多くの人に観てもらいたいので。今年の締めくくりに是非とも見なくてはならない番組だと思います。『ダーウィンの悪夢』について記事を書きました。TBさせて下さい。
by star (2006-12-28 16:55)
NHK教育見ました。
チャンネルをまわしたところ,水を運んでいる途中空爆された車を救助する場面でした。衝撃でした・・。その後最後まで視聴しています。
この番組で初めて綿井さんのことを知りました。イスラエルによる空爆がこれほどまでだということもあらためて認識させられたところです。
これからも応援しています!どうぞお身体気をつけてがんばってください。
by みずほ (2006-12-31 00:00)
昨晩、子供と一緒に拝見致しました。世界を多面的に見るチャンスを与えてくださっていることに感謝します。安全に十分気を配って、今後ともよろしくお願いいたします。来年は僅かでもましな世界になりますように。
by 曽我逸郎 (2006-12-31 08:29)
30日見ました。綿井さん達から知らされた事実を、もうすぐ、主権者になる高校3年生たちに伝え、「あなたが、できることは何か」→「憲法9条問題について考える」ということを授業でしようと思います。30日の番組の教材化に励みます。
戦場の事実を目の前にすると、忙しさにまぎれ、見失いがちな一番重要なことは何か、ということに気づかされます。
古居みずえさんの「私達は、女、老人、子どもといった弱い立場の側の人たちと共にありたい」、綿井さんの「空爆される側の視点から撮る」
長崎は、空爆される側の体験を持っているから、何とか、土井さんが紹介していたイスラエルの人のように、(ユダヤ人迫害の視点をパレスチナの人々の現状を考えることに活かしている)つなげて考えられるようにしなきゃいけないなあ。教育現場でそういうことをしなきゃなあ。
まだまだ、できることやらなきゃいけないことは、たくさんありますね。
by 奥山 (2006-12-31 09:29)
楽しみにしていました。しっかり見ました。いい番組でしたね。どこかの大学教授も、たじたじして言うことが微妙に変化していましたね。おもしろかったです。
綿井さんの追っかけをやっていますので、レバノンの首なしの遺体映像を見るのは3回目でした。
1回目はイヤでした。顔を背けました。横浜の集会でした。他にもありましたね。
2回目はアジアプレスの野中さんが、立川での集会で、綿井さんの取材映像だと断りを入れてから説明しました。同じ画面だったと思いますが、少しちがう場面もありました。このときは見なければいけないという使命感で見ました。
3回目が昨日のNHKでした。わたしはもう、平気です。現実を見つめて、反戦市民運動を来年の課題としていきます。
綿井さん、あまり危険なところには行かないくださいね。でも、つぎの取材を楽しみにしています。相模原より愛をこめて・・・
by ブーゲンビリア (2006-12-31 12:31)
教育テレビ 30日の2006年夏 戦場からの報告
を見ました。首の無い遺体の映像ですが、
たとえば、日本国内で列車事故や自動車事故の
ご遺体を「遺族の承諾を得た上」で
こういった映像を流すことが貴方にできるでしょうか。
すくなくとも、流す前に事前にテロップで、内容について
説明が必要なように思われます。流すのが悪いとは
思いませんが、唐突で配慮に欠ける表現のように
思います。
by ちから (2007-01-02 00:50)
視聴者にテレビの観方まで要求することはできない。
そんな風な上に立った言葉で、人の感じ方を変えられると考えるのは、語り手の思い上がりだ。
けっきょく、局側に対するメッセージだろうが、よくないものいいだ。
by 東方不敗 (2007-01-06 17:40)