SSブログ

【2月1日=オースティン(テキサス州)】

一昨日(30日=現地時間)、サンフランシスコから今度はオースティンに入った。何だか昔テレビでやっていた「アメリカ横断ウルトラクイズ」みたいな移動だ。

そういえば僕が大学に入学した90年4月、上京してすぐにパスポートを取った。実際に初めて外国へ行ったのはそれから2年も後だが、「アメリカ横断ウルトラクイズ」の東京ドーム予選に参加するためだけに取った。ちなみに「高校生クイズ」の近畿予選にも2回参加したので、大学に入ったら今度は「ウルトラクイズ」に挑戦しようとずっと思っていた。まだあのころは横長のパスポートで、渡航先も「北朝鮮を除く」というただし書きが入っていた時代だ。

あの番組は「ニューヨークへ行きたいか~!」という掛け声が合言葉だったと思うが、いまでは格安チケット往復5万円ぐらいでNYは誰でも簡単に行けてしまう。僕が中学・高校ぐらいのころまでは、まだ「海外旅行」は日本人にとって高嶺の花だった。

さて、ここに入る前のサンフランシスコでは2回の上映がほぼ満員だった。といっても、それぞれ80人ぐらいの席を用意した小さいホールだったが、2日目(1月28日)の上映は「SOLD OUT」の貼り紙を入口に出して、中に入れない人も何人かいた。「満員札止め」といったところか(「あるある大辞典」のような捏造・やらせじゃないよ~)。

多くの人が来場してくれた一つの理由は、当日の上映後のトークで、いま米国では話題になっている人のお母さんが出席してくれたからだ。彼女はいま全米で話題になっているワタダ中尉の母、キャロライン・ホーさんだ。

ワタダ中尉とは、米軍現役将校で初めてイラク出兵を拒否した日系3世で、2006年7月に陸軍より訴追された。有罪になった場合は実刑6年が科せられ、軍刑務所に収監される。現在アメリカでは、「不法なイラク戦争への参加を拒否したワタダ中尉を支援しよう」と、ベトナム、湾岸戦争帰還兵を中心に彼への支援が輪が広がり、彼の両親は全米各地を旅し、裁判への支持を訴えている。最初の軍法会議は今週末2月5日に行われる予定。http://www.thankyoult.org/

米国に来て感じることは、確かにいまこちらでは「今後のイラク政策」「米兵の死者増大」に対しては多くの人が関心を持っている。しかし、実は「これまで米軍がイラクで何をしたのか」「これまでイラク人が米軍にどうやって殺されていったか」という点はあまり語られない。やはり何といっても「米兵物語」がメディアの中心だ。

映画上映後の感想で多いのは「インプレッシブ」「パワフル」という単語で表現する人が多い。「この映画のDVDをどうやって入手できるか」「議会や政治家にも見せるべきだ」という声もかなり目立つ。

一方で、劣化ウラン弾やクラスター爆弾の被害に関しては、知っている人と知っていない人の差は想像以上に大きい。オースティンの街頭で「イラクからの米兵撤退」をずっと一人で呼びかけていた女性リサ・ガードナーさん(25歳)に聞いたところ、彼女は「劣化ウラン弾」「クラスター爆弾」という単語さえ、まったくこれまで聞いたことがないという調子だった。シカゴのディポール大学の授業時間で聞いたところ、15人ぐらいの生徒のうち「劣化ウラン弾」という言葉を知っている生徒は1人だけだった。

「米兵の死者」「米兵撤退」には反応するようになっても、自分の国の軍隊が他国でどんな兵器を使い、どんな攻撃を繰り返しているのかに関してはなかなか想像力が及ばないのか、それとも知らされていないというべきなのだろうか。日本だって同じか。

オースティンの街は「ブッシュの地元」テキサス州に位置しているが、市民のほとんどは民主党支持者だという。シカゴもサンフランシスコもそうだった。前述のリサさんには「きょうの夜、僕が撮影したイラク戦争のドキュメンタリー映画を上映するので観に来てほしい」と言ったところ、「必ず行くわ」とそのときは言っていたが、結局彼女は会場に現れなかった。もし彼女に「イラクにいる米兵が出ているドキュメンタリー映画」と説明していたら、彼女はやっぱり来たのだろうかと推測するのは考え過ぎかな。

共同通信からサンフランシスコの上映会の様子の記事が配信されます。2月1日以降の新聞(地方紙のみ)に掲載されると思いますが、どの新聞にいつ掲載されるかはわかりません。ご了承ください。朝日新聞NY支局の記者も取材に来ていたので、そのうち掲載されるでしょう。

…………………………………………………
綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
…………………………………………………


2007-02-01 15:08  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 1

Koni

綿井さん、2月2日の朝日の国際面にかなり大きく上映の記事が出ていました。「綿井さんは『米国で反戦機運が高まっていると言われるが、米兵、米軍の被害をもとにした議論で、イラクの実情を知ろうとか、殺すなといった議論にはなっていない 』と語った」で結ばれていて、お客様の反応は書かれていなかったです。アメリカ人がイラクに関して、どういうイメージを持っているのか、それがどこから来て、Little Birdsを見て、どう変わったか知りたいですね。トークで時間があったら聞いてみて欲しいです。ニューヨークでの反応期待しています。
by Koni (2007-02-03 10:03) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。