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【2月3日=ニューヨーク発】

もう遅いのだけれど、昨日(2日)付けの朝日新聞と、共同通信からの配信で、いくつかの地方紙(北海道新聞など)にこちらでの上映会の様子を伝える記事が掲載されている。図書館かデータベースででもご覧いただければ光栄です。

さて昨日(2日)、オースティン(テキサス州)からNYに移動した。次の上映は7日なので、しばらく余裕がある。一息つけそうだ。と同時に原稿を2本、ここにいる間に書かなければならない。困ったな…。

実はこんなことを言うのも変だが、僕がアメリカに来ると日本では少年・子どもが絡んだ殺人事件が起こる。

01年6月、大阪教育大付属池田小で23人が殺傷される事件が起きたとき、ちょうど僕はシカゴにいた(東ティモールで亡くなったアグス・ムリアワンのNHK番組の受賞式で、地元の「テレビ・映画祭」に出席していた)。その前の年の5月の連休中はワシントンにいて(これもアグスの関係で、世界中で亡くなったジャーナリストの追悼式典に出席。毎年5月3日に行われる)、そのときは福岡で少年によるバスジャック事件が起きていた。ちなみに、97年5月の神戸・連続児童殺傷事件のときはスリランカで取材中だった。だから、これらの事件の詳細を、実はよく知らない。

大阪教育大付属池田小の事件は、その後共同通信の連載企画「惨劇への暴走」
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2001/osaka/rightmenu/nerawareta/sangeki-01
/で宅間元死刑囚の生い立ちを詳しく知った。以前もHPで書いたけど、僕は大阪教育大付属の天王寺小・中学校を受験して落ちているので、実は「同じような」彼の経歴がとても気になっている。

オースティンの映画館での上映には120人ほどが集まってくれた。「小さい映画館」と聞いていたので、日本のミニシアターのような50~100席ぐらいと想像していたが、実際には200人収容の劇場だった。この映画館では上映中も「食べ物・飲み物持ち込み可」で、椅子の前にもちゃんとテーブルがあるという不思議な造り。上映中でも食事のオーダーがその場でできる。

というわけで上映が始まってからもほとんどの人が口をモグモグさせていた。こちらとしては「食べながら観るのはやめてほしいなあ」と思って嫌な気分だったけど、でも上映の途中からはみんなスクリーンに集中状態。主催者の人も「普段ならだいたいみんな最後まで何か食べているが、きょうの上映はさすがに違った。食べる余裕なんてなかっただろう」と話していた。日本のテレビで視聴者からよく来る抗議「食事時なのでこんな映像を流すのはやめてほしい」を思い出したが、映画館では家のテレビと違って目の前のチャンネルは変えられない。

その翌日はテキサス大でジャーナリズムを教える先生のクラスで授業をした。当然英語で話さなければならず、60分間も果たして生徒はちゃんと聞いてくれるのかどうか不安だったが、みんな熱心に聞いてくれた。もっともこれはアメリカの大学生は一般的にみんな本当に勉強熱心だ。シカゴの大学でもそうだったが、教室でも廊下でもどこでも本やノートを開いて勉強している光景ばかりだった。これは日本と格段の差がある。

NYに来るのはほぼ5年ぶり。前回来たのは02年の9月11日、つまり同時多発テロからちょうど1年のときだった。そのときに書いた原稿が「世界はなぜ9・11だけ追悼するのか」(初稿は「週刊金曜日」掲載。拙著「リトルバーズ」晶文社に所収)。

当時はアメリカが「9・11テロの被害者」としてまだ盛んに振舞っていた一方で、その後のアフガン報復攻撃の「成功」を誇示しながら、今度はイラク攻撃への「正当性」や「根拠」をブッシュが言い始めたころだった。あれから5年近くたって、イラクでの米軍死者数は同時多発テロ事件の死者数を上回り、イラク政策そのものも行き詰まり、あれこれ出口を探しているが、どうにもならなくなって、この場に及んでまた米軍の増派というから、これは「焼け石に水」というべきか、それとも「火に油を注ぐ」というべきなのか。

民主党のヒラリーが先日、「私が大統領になったら、この戦争を終結させる」と演説で言ったようだが、でもどうやって?そんな簡単に終わらせられるのなら、誰が大統領になったって「終わらせられる」よ。ソ連のアフガン侵攻時にはムジャヒディン(イスラム戦士)への支援をしておきながら、冷戦が終わったら「使い捨て」。当時はビンラディンもムジャヒディンだった。ベトナム戦争も、ソマリア内戦といい、破壊するだけ破壊してから、途中で米軍を撤退させて単に自分たちにとって「終わらせる」だけじゃないか。そして、その国での戦争はそれからもずっと続く。

オースティンから乗り込んだNY行きのユナイテッド航空の飛行機の機体には、「We support our troops in the middle east」と書かれていた。前回書いたオースティンの街頭で「イラクからの米兵撤退」をずっと一人で呼びかけていた女性リサ・ガードナーさん(25歳)も、、持っていた紙には大きく「support our troops 」と書いてある。この「Support」という単語の意味、使われ方にちょっと混乱する。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
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2007-02-04 01:33  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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