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みんなで「処刑」

「いずれにせよ、こんな連中はさっさと死刑にすべきです」

例の名古屋での拉致殺害事件の容疑者に対して、テレビのコメンテーターはこんな発言をしていた。まだ逮捕された段階で、テレビスタジオの中では「裁判」どころか、もうすでに「判決」がいい渡されているというところか。光市裁判関係のニュースだけでなく、ほかの事件や裁判でも、最近は実に軽く「死刑」という言葉がさらっと出てくる。キャスター、コメンテーター、芸能人まで、テレビスタジオの中ではもはや珍しくもなくなった。捜査段階での容疑者の「自白」「供述」なるものが、この国では今も昔も絶対的な「証拠」「動機」「事実」のようだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070810-00000160-san-soci 
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/58255/

警察や検察の取調べは必ず正しいのか?メディアで「」つきで出てくる容疑者や被告の言葉は、本当に彼らが「」通り話したことなのか? そうした警察や検察が出してくる「証拠」「動機」「事実」の信憑性をもう一度調べなおすのが弁護士の仕事だし、それらをすべて客観的に、様々な角度から比べて法的に判断するのが裁判所の役割じゃないのか?

朝青龍を追い掛け回すメディアを見ていると、この国はみんなで誰かを叩くのが本当に大好きだ。やる方も、見る方も。これは国民性なのか、民族性なのか、単にメディアの中だけの問題なのか。テレビに出てくる報道陣が「真顔」「真剣」「必死」になって朝青龍の居場所を追い掛け回している。誰か一人ぐらい現場から「嫌そうな、やる気なさそうな顔でリポート」してくれないか。誰か一人ぐらい「別にモンゴルまで追いかけなくてもいいでしょ」とコメントしてくれないか。本当に、誰か一人ぐらい…。

なぜにそう簡単に「死刑」なる言葉を使えるのかと思ったが、良く考えるとこの国では死刑は「簡単に」都合よく行われる。

内閣改造なる単なる「政治イベント」の都合に合わせて処刑。
法務大臣退任前の駆け込み処刑。
死刑囚が100人を超えて多くなったので順番に処刑。

日本はそんな理由やタイミングで、密室で、機械的に人間を処刑をする、本当に「美しい国」だ。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
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2007-08-31 23:09 

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