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【2月9日=イサカ(NY州)】追記あり

NY市内での上映を7日に終えて、翌日から同じNY州のイサカという街に来ている。ここにあるコーネル大での上映がとりあえず「今回の」ラストだ。

NYでの上映は80人近くの観客だった。後から気付いたのだが、昨日のTBSニュースでも少し紹介されたようだ。テキストと写真は以下のHPをご覧ください。
http://news.tbs.co.jp/20070209/headline/tbs_headline3489625.html

NYに着いてから多くの人に、前回書いた「Support our trrops」という言葉の使われ方について聞いた。どうやらこれには後に続く言葉があって、「Support our troops, bring them home(now)」だという。つまり「私たちの軍隊を支持しよう、彼らを(今すぐ)帰還させよう」という意味で、「反ブッシュ陣営側の合言葉」のようになっているという。これはいわゆる「兵士の無事を祈る」という感情よりも、いまの米軍増派にも反対する政治的な言葉の意味合いが強い。「Support our troops」という言葉そのものはブッシュ陣営も使っているが、主に民主党側がその言葉を逆手に取って、政策批判のスローガンとして使っている。

日本でもイラク自衛隊派遣が行われた当初(04年1月)、北海道・旭川を中心に「黄色いリボン」運動というものが展開された。http://park6.wakwak.com/~blueimpulse/yerrowribon/YerrowRibon.html これは「イラク派遣自衛隊員の家族が、派遣隊員の無事帰還を祈る」という感情的な意味合いが強かったが、一方で保守系団体「日本会議」などがこのキャンペーンを全国に広めようとした。黄色いリボンはベトナム戦争当時にアメリカで使われ、今回のイラク戦争でも「Support our trrops」という言葉と一緒に黄色いリボンもたまに見かける。

NYで暮らす人の話では、この動きを「政策批判としてはOKだが、米兵への批判はある種のタブーになっている状態」とも言う。「米兵もこの戦争の犠牲者」というとらえ方だろう。死者3000人を超えてようやく気付いたのか、確かにそれはそうなのだが、その前に「考えてみてほしい」と思うことが多々ある。

アメリカのいくつかの街や大学で上映をやってみて感じることは、確かに米国では「イラク戦争」に関する関心はメディアから一般の人たちまで高いようだ。ただし、「イラクの人たちに対する」関心はさほどない。そして、依然として知らない人がまだまだ多い。そして、アメリカ軍兵士の犠牲者の増大から、恐らく「Support our trrops, bring them home(now)」という動きが出ているわけだが、「リトルバーズ」の映画本編の中にあるようなシーン「Don't kill iraqi children」や、英語字幕版のサブタイトルとして使った「How many children have you killed today?」というようなスローガンや言葉は皆無に等しい。

こちらの国内メディアでのイラク問題の取り上げ方は、「来年の大統領選挙の行方の一環として」「今後のイラク政策」「米軍増派問題」「この戦争にかかる今後の予算・経費」としての国内問題で、後は相変わらずの「米兵物語」が中心だった。「これからどうすべきか」は語られても、「これまでアメリカがイラクで何をしてきたのか」「米軍の攻撃や兵器(クラスター爆弾、劣化ウラン弾)によって、どれだけ多くの人が殺されてきたか」の視点は本当にない。

主語も、目的語もすべては「アメリカは…」「アメリカ人を…」「アメリカのための…」に収まる。「イラクの人たちは…」「イラクの人たちを…」「イラクの人たちのために…」では決してない。

今回、サンフランシスコでの上映会を企画してくれた円道まさみさんから、上映後にこんなメールが寄せられた。

「“こんなパワフルな映画は見たことがない”“映画を見た日、まったく眠れなかった”という人が多くいた。外国人監督のドキュメンタリー作品などほとんど見る機会がなく、そこにもってきて「敵国」の人間の苦しみを徹底取材したという点で、「リトルバーズ」はアメリカ人にとって本当にショッキングな作品なのだと思った。“日本人ジャーナリストがこれだけの取材をしているのに、アメリカのジャーナリストは戦争の真実を何も伝えない”と怒りを表した人もいた。一方でこの映画の上映時間がドキュメンタリーにしては長かったとコメントした人が何人かいたが、アメリカ人はたった102分の戦争の現実に耐えられない。イラクの人々が聞いたら何と言うだろうか…」

もし映画そのものが「長く感じた」とすれば、制作した僕の側の取材・撮影や構成の問題なのでそれは申し訳ない。日本の上映会でも同じような意見はあった。しかし、もしイラクで起きていることや、イラクの人たちが言っていることに対して「長く感じた」とすれば、本当に思う。「イラクの人々が聞いたら何と言うだろうか…」。

さて、こちらでの上映の締めくくりといっては何ですが、CNNインターナショナルの番組にNYから生出演します。放送日は2月10日(土)午前9時=米国東部時間(日本時間ではきょう10日の午後11時)の予定です。もしケーブルテレビなどでCNNが映る方がいらっしゃいましたら、ご覧いただければ幸いです。万が一、もし放送されなかったら「キャンセル、お流れ」になったということですのでご容赦ください。

12日(月)に帰国します。

【追記】ここまで書いてアップした直後、携帯電話が鳴った。嫌な予感が的中。上記のCNN番組放送は「都合によりキャンセル」となりました!!あ~残念。「一生に一度の機会」を逃したかもね。

イサカ(NY州)より。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
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2007-02-10 08:18  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 

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