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「半・反体制」

▼「フォトジャーナリスト13人の眼」(集英社新書)全国の書店で発売中
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)編
http://www.jvja.net/shueisha.html

※「9・11同時多発テロ事件を追悼する前に」綿井健陽
以前、「信濃毎日新聞」に連載した原稿4本に加筆しました。

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思いもかけず、「ロカルノ国際映画祭」http://jahia.pardo.ch/index.jspで部門賞をいただいたので、特に海外の配給会社・映画祭からの問い合わせメールが、さっそく増えている。

日本でも、友人・知人から「祝福メール」をいただいたりしたが、そもそも「ロカルノ」がどこの国にあるのか最近まで僕も知らなかった。なかには「スカルノでの受賞、おめでとうございます」と、インドネシアか、デヴィ夫人主催の映画祭と思っている人もいるようでした。

今月末は、
「モントリオール国際映画祭」http://www.ffm-montreal.org/en_index.html
「EBSドキュメンタリー映画祭」(韓国)http://www.ebsdoc.co.kr/2005_fall/eng_temp/program_02.html
でも上映されますが、これから海外でも上映される機会がもっと増えそうなのでうれしいことだ。

ちなみに、コンペ部門で落選した「山形国際ドキュメンタリー映画祭」http://www.city.yamagata.yamagata.jp/yidff/home.html からも、別の特集枠で上映されることになったので、「敗者復活」というところか。「アジア千波万波」部門ではアジアプレスの同僚、直井里予の作品がノミネートされている。http://www.riporipo.com/ytt/

全国の皆さん、10月7日~13日は山形でじっくり世界のドキュメンタリー映画を見てみましょう。僕も日程の後半ぐらいで「参加」出来る予定です。

さて、「Little Birds」は日本での上映依頼もまだ増えているが、一方でこんなこともあった。
詳細は月刊「GALAC」9月号 http://www.houkon.jp/galac/index.html に書いたのだが、ここでも少しその経緯を触れておく。

九州の学校関係者から、毎年夏に行われる教員研修の場で上映をしたいと依頼があった。ところがその提案を会議でしたところ、「校長会」のメンバーが執拗に反対したという。

「反対理由」は、「自衛隊がイラクに派遣されているから」「日本政府は米軍のイラク攻撃を支持しているから」などの理由があがったという。

しかし、それでも依頼した方々はその後も上映実現に向けて何度も彼らを説得したそうだが、最終的にどうしても「校長会」のメンバー2人が反対して、結局実現しなかった。最終的な反対理由は「反体制的な内容は教育現場で取り上げるべきではない」とのことだった。

「反体制」=支配体制や時の政治機構を否定し変革すること。また、その立場。(広辞苑から)

最近あんまり見ないけど、ヒロシです…。
「Little Birds」は「反体制的な内容」なのだそうです。
体制に則した内容の映画だったら上映できるのだそうです。

でも、この校長会の人たちは、映画そのものは直に見ていないから、何をもって「反体制」とみなしたのかはよくわからない。せめて、見てから決めてほしかったです。

実は九州地区での映画の上映はこの県に限らず、あまり広がっていない。4月の封切り直後から出足が鈍く、特に映画館での上映がなかなか決まらなかった。自主上映会はいくつかあるが、劇場ではこれまで長崎の一館だけだ。

友人に聞くと、「九州という土地柄はかなり保守層が多い」「自衛隊がいまちょうど九州から派遣されているから」などと言われた。しかし、自衛隊がイラクに派遣された北海道は、これまでもこれからも各地で上映されているので偉い違いだ。

僕も、教員一家の息子なのだが、最近各地で学校の先生方と会うと、学校の現場での「思想統制」「服従要請」が全国規模で本当に広がりつつあるようだ。

その最前線が東京だと思うが、そこで、たった一人の抵抗を試みた先生もいる。
以下の日刊ベリタの連載記事(根津教諭の「停職『出勤』報告」参照)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200506151114193

しかし、抵抗は一人であっても、その場所から誰か別の「新たな動き」が生まれる。

その昔、故黒田清さんが「半分共産党の『半共』でええんや」と言っていたのを思い出す。

世の中全部が共産党支持者になったら、それは逆にコワイ。
雑誌「週刊金曜日」や「世界」が何百万部も購読される世の中に僕は住みたくない(実際にはいま数万部しか売れていないので、もうちょっと増えてほしいと切に願う)
世の中みんな反体制の人ばかりというのもちょっと困る。

しかし、いまの現時点の世の中を見ると、「半・反体制」ぐらいでちょうどいいのではないかと思う。
僕は「非国民予備軍」だと思いますが、これからは「半・非国民」でいいでしょう。

僕の映画も「半・反体制」ぐらいの内容だと思うのですが、何とか九州地区でも上映機会を広げたいね。今後ともよろしくお願いします。

…………………………………………………
綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
全国ロードショー上映中
…………………………………………………


2005-08-18 03:53  nice!(2)  コメント(7)  トラックバック(2) 

nice! 2

コメント 7

kiss-me

九州は偉いなぁーと思っているので、応援のつもりで...
先日のサマワ現地報告(おつかれさま!>綿井さん)の記事、どんな新聞に載ったのか調べてみたら、わかったうちの半分は九州でした。
長崎、熊本日日、南日本、大分合同。(ほかには北日本、新潟日報、下野、中国、四国)
「新聞に載った人が作った映画なんだから」という口説き文句じゃ駄目かしら?
by kiss-me (2005-08-18 14:38) 

nice!

ロカルノ映画祭のホームページはメチャ見づらいんで貼っときます

2005年ロカルノ映画祭受賞作品リスト
http://jahia.pardo.ch/jahia/webdav/site/pardosite/shared/pdf/Palmares_fr_2005.pdf
7ページ目に綿井氏受賞のHUMAN RIGHTS AWARD 
5000FrS get!(yokatta !korede sukosi shakkinn kaeserukamo...)

http://asia.news.yahoo.com/050814/kyodo/d8bva24g0.html
共同通信配信のヤフーアジアニュース。下の方です。
In the festival's human rights film contest, Japanese freelance journalist Takeharu Watai's documentary "Little Birds" won the top prize. The film consists of portraits of Iraqi citizens he shot during the U.S.-led war on Iraq in 2003.

ついでにロカルノってどんなとこ?
http://www.myswiss.jp/area/10/locarno.htm
by nice! (2005-08-18 15:56) 

磯野さん家の猫

>相次ぐ受賞おめでとうございます。
先日、映画を拝見させて頂きました。綿井氏の視点、訴えるもを感じました。ご活躍をお祈りしますが、お身体にはくれぐれも気をつけてください。あなたの様な人が大切な時代になりつつあります。
by 磯野さん家の猫 (2005-08-18 23:18) 

ざ

本当に九州人として恥ずかしいです。いまだに九州男児という言葉があたりまえのように飛び交っているんですから。あれって男尊女卑の代名詞なのですが。そんなお国柄のせいなのでしょうか?
でも、山口では2回上映ですね。山口も多くの首相を送り出してきたお国柄なのに、山口ガンバレ!ちなみに山口のガードレールは黄色いので注意してガードレールを探してください。
受賞おめでとうございます。
by ざ (2005-08-18 23:41) 

田仁

今現在世の中のバランスがなってないので、自らの身を以って自分が移動する事でバランスを取ろうとしてる人は、本当の本当は「半・非国民」というよりは正確な日本語で愛国者と思いますけど、それが照れくさくって面映いんならいいです、それで。
by 田仁 (2005-08-19 02:04) 

MITURU

彼らの言う「反体制」とは、アメリカを批判することなのでしょう。ペシャワール会の中村哲医師が、日米同盟がないと日本は生きのびられないと国を挙げて錯覚している…と岩波ブックレット『憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言』のなかで指摘しています。
by MITURU (2005-08-19 02:35) 

フルタ

個人的に、ドキュメンタリズムのというものは、「その場所に起こってい事」そのものを伝える作業だと認識しています。
その『ドキュメンタリー映画』を観ないで『反体制』と決めつけ、上映反対を促した“偉い先生方”自身のその行為自体が、反体制的行為、もしくは体制への無意識の批判、不振を表しているように思います。
体制として確固たる意志と、的確な行動と、揺るぎない自信があれば、どんな映像や話を公表されても、胸をはっていられるはずですから。

ちなみにシビックホールでの上映会行かせて頂きました。
とても考えさせられました。
今の日本(ある意味で情報統制化にある国)では、綿井さんのような方が本当に必要、そしてその役割はますます重要になって来るように思います。気軽に「がんばってください」などとはとても言えませんが、身体だけは大事にしてください。
by フルタ (2005-08-19 03:26) 

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