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「国民国家再編」と共謀罪

▼「週刊金曜日」9月16日号
http://www.kinyobi.co.jp/Recent
総選挙座談会「香山リカ×小森陽一×綿井健陽」
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先日の総選挙で僕は、小選挙区では共産党の候補者、比例代表では社民党に投票した。結果、その候補者は落選、社民党はかろうじて議席を2つ増やして7だった。以前からよく共産党系の雑誌や新聞の取材を受ける。社民からはあまりお誘いはない。しかし、申し訳ないが基本的に共産も社民も、政党としては「このままでは」あまり未来はないと思っている。「このままでは」という部分を強調しておくが。

この2つの政党を支持しているわけではないし、応援もあんまりしたくないが、以前書いた「半共」「半・反体制」ぐらいが、いまの世の中ではちょうどいいぐらいと思うので、ほかの政党の選択肢から比べれば「少なくともまし」と思って僕は投票した。それぐらいの立ち位置で、それこそ「公平・中立」なんじゃないの。http://blog.so-net.ne.jp/watai/2005-08-18

雑誌の座談会で香山さんが「確かに共産、社民は一定の議席を確保しましたが、これが最大値なら意味がありませんね」と言っていた。「九条の会」があれほど全国に広がっても、観衆をたくさん集めて、そして徹頭徹尾「護憲政党」の共産・社民で議席が「プラス2」という結果が「最大値」なのか…。

「護憲政党」の支持層で今回投票した人は、たぶん次もその次もずっと支持・投票するだろう。
しかし、それ以外の層には、「このままでは」絶対に広がらないと思う。

さて、あえて言うまでもないことだが、衆議院で自民党が296議席、公明党が31議席ということで、与党が3分の2を占める。ということは、これからは基本的にどんな法案も、たとえ参議院で否決されても、衆議院の3分の2以上の賛成で再可決できるということだ。

だから自民党が作りたい法律は、何でもいまのうちに作ってしまえとなる。憲法改正よりも先に、まずその下の法案をどんどん用意して作っていくことになる。政界再編、野党の再編よりも、今後始まるのはもっと恐ろしいことだ。

ノンフィクションライターの田中伸尚氏はこう語っている(「ジャーナリスト」05年8月25日号→この号の田中氏の「緊急提言」は必読!=日本ジャーナリスト会議発行 http://www.jcj.gr.jp/

「『改憲』の目的は、単に9条を変えるだけでなく、その射程はもっと長い。戦後国家の在りようを根底から変えようというのが狙いです」「現在の支配的な政治勢力が構想している改憲の方向性は、『国民』を国家に服従させるような内容です。もしそうなれば、国民国家再編は第二ステージに入る。それは国家権力が、改悪された憲法を実践していく段階です」

郵政民営化に賛成ならば自民党「公認」、反対ならば「非公認」
会社上層部の方針に従う人は「社員」、従わない人は「非社員」(つまり、「辞めてくれ」ということか)
学校の命令に従う教員は「公認の先生」、従わない教員は「非公認の先生」
そして、国家に服従する人は「国民」、服従しない人は「非国民」

会社から学校から、日本の社会のありとあらゆるところで、今後「小泉方式」が広がっていき、様々な現場で「公認」「非公認」で選民されていく。そこには議論や対話、個人の意思や自由などの空間・余地はない。

あの田中角栄を象徴する言葉に「政治は数。数は力」があった。
いままた別の形と方法で「数と力」の支配を拡大させていくだろう。

しかし、与党3分の2の「数と力」に対抗するためには、逆の側だって様々な人たちの「数と力」、そして少なくとも「知恵」を要する。

さっそくもう、以下のような動きが出ている。
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005091701003913

これをほっとくと、えらいことになるぞ。
黙っていると、知らないうちに法案は衆議院で可決され、そして「共謀罪」であなたも捕まる。
国家に無条件で従う「国家公認国民」以外は、みんなその可能性がある。

様々な現場や場所で一つひとつ、与党3分の2の「数と力」に対抗するしか、この日本の大きな流れは止められない。

「共謀罪なんて、別に僕は、私は関係ない」と思っている人こそ、ちゃんと知っておいた方がいい。
法律ができた後から「こんなことになるとは知らなかった」「本当は反対していたのに」と言ってももう遅い。

以下、いただいたメールから抜粋して転送。

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天下の悪法! 平成の治安維持法!?
「共謀罪」を永久に葬り去るために 9・19話そう会
その法案、凶暴につき

8月8日の衆議院解散で「共謀罪」は(とりあえず)廃案となった。
しかし、新たな政権の枠組み次第では、再提出→成立の可能性も大。
郵政法案の影に隠れたトンデモ法の実態を満天下に引きずり出し、
今度こそ永久に杭を打ち込むなら今がチャンス。
そのために、知恵と力を集め、何ができるか、どーするか。
9・19はそのスタート台です。多くの方々の参加と発言と知恵を!

「共謀罪」って何? という方は↓こちらをご覧ください。
http://tochoho.jca.apc.org/nkyz.html

▼日時:9月19日(月・敬老の日)午後1時30分~5時(開場:午後1時)
※午後5時~交流会
場所:東京・文京区民センター3C(都営三田線春日駅真上)
地図→http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/kumincenter/
参加費:500円

発言予定者:斎藤貴男(ジャーナリスト)、篠田博之(月刊『創』編集長)、
成澤宗男(『週刊金曜日』編集部)、浜野佐知(映画監督)、
増山麗奈(画家) ほか

呼びかけ人:鎌田慧(ルポライター)、神林広恵(元『噂の真相』デスク)、
北村肇(『週刊金曜日』編集長)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、
沢田竜夫(フリーライター)、篠田博之(月刊『創』編集長)、
清水直子(フリーライター)、寺澤有(ジャーナリスト)、
長岡義幸(ジャーナリスト)、西村仁美(ルポライター)、
浜野佐知(映画監督)、保坂展人(ジャーナリスト)、増山麗奈(画家)、
安田浩一(ジャーナリスト) ※9月4日現在

「共謀罪」の廃案を求める表現者・言論人の緊急共同声明の会(仮)

…………………………………………………
綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
全国ロードショー上映中
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2005-09-17 23:04  nice!(2)  コメント(6)  トラックバック(6) 

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コメント 6

綿井さんは憲法9条改正反対?

その辺の立ち位置を聞きたいですね。
by 綿井さんは憲法9条改正反対? (2005-09-17 23:46) 

mannna

上映から半年たってようやく、近くで「Little Birds」 が上映され、随所に共感を覚え、知らないことを恥ずかしく思い、色んなことを感じました。最近このblogをしり、興味深いお話ばかりなので、時々覗いています。

今回の綿井さんのコメントを読んでいて、チョッと怖くなってきました。
極論ですが、過去のDDRやソ連とその衛星国だった東欧のように、自由に発言できないことになるのでしょうか?ああ、恐ろしい。

以前、アウシュビッツ強制収容所跡をこの目で見た時、最も恐怖を感じたのは、これらの収容所を作り、実行したのは、同じ人間であるということ。人間が作ったものであるという事実を恐ろしく思えました。
戦争は普通の人々を狂気に陥れる。かつてボスニアで起きていたことやルワンダで起きていたことも、民族浄化の一言では済まされない複雑な状況、それも人間が行ったこと。国家に、組織に、忠実である人間を作り上げようと思えば、出来てしまう現実。(そういえば、なんかそんな映画がありましたね。「フルメタルジャケット」だったかな)それが戦争だと思えてならないです。
生きている存在そのものを否定され、民族そのものを否定される、否定された人間はどうやって生きていったらいいのか‥。人が人に対する尊厳を失ったら、本当に悲惨な結果しか生まれないですよね。
国家に忠実な人間でなく、人に対して尊厳を忘れない世の中になってほしいと願います。

これからの日本がどうなっていくのか、来月からの特別国会に注目したいですね。先の国会で廃案になったものの中には、共謀罪も然り、多くの恐ろしい法律が含まれている。「障害者自立支援法」何も自立支援になっていない内容。
以前、医療保険法の改正が通過したとき、今の首相は、三方一両損と言った。なるほどと頷いた国民はいたのでしょうか。三方どころか、一方(患者)が二重の苦しみを味わっている。そんな話が医療の現場であふれています。
多くの患者が「小泉さんは私らに死ねって言うんでしょうか」と話しながら、地域のしがらみの中で自民党に票を入れる、それが地方の現実。

格差はいよいよ広がって、人生の終焉の時期に、今の世の中、お金があれば、選択肢が拡がると感じ、驚く人は少なくない。老人医療が無料だったのは、ほんの10年前。わずか10年の間に、日本がどう変わったか。今、年金がどうなっているのか、医療がどうなっているのか、福祉がどうなっているのか、意外とみんな知らないのです。自分がその状況になって初めて「知らなかった」そういっても遅いねん、そのことを今回の綿井さんのコメントを読んで、感じました。
私たちは、社会に敏感でなくてはならないと思います。

暗くなってしまいますが、今日は月がきれいです。チョッと救われます‥。
by mannna (2005-09-18 21:38) 

スリーエス

だいぶ前に読んだ、『戦争論』(多木浩二著)のなかで、第2次世界大戦中の日本軍を「奴隷の軍隊」と自分の日記に書き残した、ドイツ人だったかフランス人だったかの医者の言葉が、忘れられません。それは中国での日本軍の行為を見ての記述でした。「奴隷」というのは自分の頭で考えることが許されない。知識も情報も制限される。その状態を「奴隷」と表現したのだと思います。自分たちの(精神的)環境が劣悪だからこそ他者に残虐なことをする、と。
共謀罪しかり、監視カメラしかり、平然と暮せる私たちはやっぱり脈々と奴隷気質を受け継いでいるのだと思ってしまう。すっごく嫌だけど。
会社だって弱い者いじめばっかり、だし。そういう所から自分だけでも「奴隷」脱出したい。
by スリーエス (2005-09-20 18:42) 

Greg

Thank you!
[url=http://jagtzxdk.com/vhvl/vgrw.html]My homepage[/url] | [url=http://kcukvmjb.com/ixxe/vfmx.html]Cool site[/url]
by Greg (2006-05-09 16:18) 

f

きっこの日記~ トンデモ法案炸裂!
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20060421


目配せからまばたきへ、共謀罪審議で驚愕答弁(保坂展人のどこどこ日記)
http://asyura2.com/0601/senkyo22/msg/120.html

官僚や警察官の汚職には適用されない共謀罪。どうなっているんだ!!!
http://asyura2.com/0601/senkyo21/msg/916.html


ビン・ラディンは、ブッシュに侵略の口実を与える役割のCIAエージェント
http://www15.ocn.ne.jp/~oyakodon/newversion/ladencia.htm

ザルカウィと呼ばれる男達
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/05/post_b6d9.html


ネットでの世論調査-結果
http://www.yoronchousa.net/webapp/vote/result/?id_research=334
http://asyura2.com/0601/senkyo21/msg/996.html
http://asyura2.com/0601/senkyo22/msg/260.html
by f (2006-05-21 01:35) 

ばっしんグー

辞めると言った以上責任は取ってもらうよ。
ワタ。(ΦωΦ)ふふふ・・・・
by ばっしんグー (2008-05-05 17:02) 

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