【3月23日=バグダッド発その10】
きょう(23日)は、朝からいろいろあった一日だった。
朝は大きな爆発音が近くで聞こえたが、バグダッドに入って10日になるが、この付近では初めて聞く爆音だった。
午後になると今度は「3人のNGO関係者が解放された」というニュースがBBCテレビのニュースで流れた。何日か前にここに書いた「クリスチャン・ピース・チーム」(CPT)のスタッフだ。
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/A6EF4A10-6F22-481B-B558-A19F4D845638.htm
こちらでは大きなニュースの扱いだが、日本ではそれほど掲載されていない。
2年前の日本人人質・拘束事件当時は、アルジャジーラテレビの一報で、こちらにいた報道陣はみんな右往左往。その後もアルジャジーラの報道に一喜一憂して動いたが、僕も含めてバグダッド市内をただあちこち「走り回った」だけで、何かをつかんだという感触はなく、当時は徒労感ばかりのまま終わっていった。
しかし、今回の場合は街を「走り回る」ことすらできないもんな。僕の周辺でも誰も特に走り回ったりしていない。イラク人と周辺国の国籍のメディアスタッフは周りにいても、僕のような人目で「外国人」とわかるような男は誰もこの近辺にいない。
ようやく3回分の原稿の執筆が終わろうとしている。2年前までのイラクだったら3回分の原稿なんて、3、4日の期間の取材でも十分書けた。それが今回は一週間以上もかかった。何とか可能な限り、様々な人たちのインタビュー取材で「バグダッドの街で起きていること」に迫ってみたが、本当に時間と手間がかかった。
それにしても、いま僕がいるホテルの周辺は、銃と武器によってかろうじて治安が保たれている。だが、そのすぐ回りは逆に銃と武器による「無法地帯」に近い。そんな中で何とか取材したり、メールを送ったり、原稿を書いたりしているのだから、何とも言いがたい複雑な心境だ。
外国人がいま丸腰でバグダッドの街に出て取材することは、ほとんど「ロシアン・ルーレット」の世界だろう。アメリカ人女性記者ジル・キャロルさんは依然として行方不明のままだ。
解放された3人は銃と武器によって人質にさらされ、彼らの解放は英軍の救出作戦で解放されたとBBCニュースは伝えている。まだこれらの経緯ははっきりと確認されたわけではないが、「銃には銃を、武器には武器を」の現場とは、かくも一筋縄ではいかない。
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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai
映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
全国各地で上映中
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あなたがテロの標的になるのは覚悟の上と思いますが、ブログにイラクの友人の方の名前や写真を載せて、もし仮に彼らがそのために危険にさらされるとしたらどうお考えになりますか?また、周りの人たちの警備体制もかかれていますが、そのことによってその人たちを危険にさらしているとはお考えにならないのでしょうか?いずれにせよ、どうぞ気をつけて。
by いとしのバグ (2006-03-25 00:45)