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【3月24日=続・戦火のバグダッドから その13】


3月24日撮影=バグダッド市内のパレスチナホテルで。(左)ハディール、(中央)父親のモハセン。

思わぬ展開からきょう(24日)、映画「リトルバーズ」のもう一人の主人公ハディールに再会できた。よく考えると去年は僕の通訳が家を訪れただけなので、僕が直接会うのは04年以来の3年ぶりになる。http://blog.so-net.ne.jp/watai/2006-03-25

先日、シーア派民兵組織マハディ軍のメンバーに僕の通訳がインタビューできた。彼らは通常バグダッド市内のサドルシティーと呼ばれる地区に住んでいるが、先月から始まったイラク軍と米軍の掃討作戦以来、バグダッド市内の各地に分散して逃れるようになった。知り合いを通じてそのメンバーに何とか秘密裏に接触できたのだが、ちょうどそこにいた別のメンバーがハディールの家の周辺に住んでいるという。事情を聞いた男が親切に「それならば俺が探してやろう」と、彼がモスクに行って名前を調べてくれた。こちらでは地区のモスクに居住者の名前がだいたい登録されている。そして、本人たちを見つけてホテルまで連れてきてくれた。何と親切な民兵なんだ!しかし、まさか民兵に頼んで彼らを連れてきてもらう展開は想像もしなかった。まあ民兵といっても別に武器を持っていなければ、「その辺に住んでいる男」と一緒だからなあ。

いつも思うが出会いは「偶然」ではなく、「必然」だ。探せばこのようにいつか「ラッキー」にぶつかる。

さてハディールはもう15歳で中学3年生。今年後半からはもう高校生になる。去年と同じくお父さんが警備を務める中学校に毎日通っている。顔にはニキビがたくさんできていて、すっかり大きくなった。破片がまだ入っているので、右目は去年と同じく時々痛くなるという。視力も同じく0・01ぐらい。学校ではいま英語を習っているようで、将来は英語の先生になりたいと話していた。4年前のまだ小学6年生だったときは「インテリアデザイナーになりたい」と言っていた。住んでいる地区の周辺では爆弾事件が相次いでいるが、シーア派の彼らからすると「マハディ軍が私たちを守ってくれている」と言っていた。

彼らの家にはDVDプレーヤーもパソコンもないので、去年渡した映画のDVDをまだ見ていなかった。なので、ホテルの部屋で映画を初めて見た。4年前の自分の姿に彼女はだいぶ恥ずかしそうだった。アリサクバン家族と同じく連絡用に携帯電話を買ってあげたので、次からは連絡が取りやすくなるだろう。帰り際にお父さんが「日本の皆さんによろしく伝えてください。日本の首相にもありがとうと伝えてください」と言われ、返答に困ってしまって苦笑い。

彼らの無事は確認できてよかったのだが、その間にもホテルの周辺から轟音が聞こえたり、煙が上がったりの連続だった。今日のイラクは爆弾事件が相次いで、一寸先は闇だ。http://www.47news.jp/CN/200703/CN2007032401000746.html

さて、次の連載企画原稿3回分(もしくは2回)をそろそろ書いてしまわないと。テレビ番組用の映像は残念ながらほとんど撮れていない。それが終わったらそろそろ帰り支度。ここから出る段取りが、またいろいろとややこしく時間がかかる。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
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2007-03-25 03:09  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

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コメント 1

奥山

ハデイールに会えて本当によかったですね!現場にいるからこそのことですね。綿井さんの連載記事が待ち遠しい。テレビ用の映像がとれなくても、帰国してから、綿井さんだからこそできることがたくさんあるので、気をつけて帰国されてください。
by 奥山 (2007-03-25 11:47) 

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