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8月2日東京にて「特別上映会」開催

これから、クウェート→アンマンに移動して、8月2日(火)日本に戻ります。
以前もお知らせしましたが、東京で映画「little Birds」の特別上映会を開催します。

当日は、まだ未編集ですが、サマワの最新取材映像も少しお見せする予定です。
ぜひお越しください。

それでは。

▼特別企画「日本とイラク戦争の今を語る」
~映画『Little Birds イラク戦火の家族たち』上映とイラク最新レポート

トークゲスト
広河隆一(フォトジャーナリスト・「DAYS JAPAN」編集長)
高遠菜穂子(イラク支援ボランティア)
(司会・進行)
綿井健陽(「Little Birds」撮影・監督)

*トークゲストは事情により変更・追加の可能性がございます。予め御了承下さい。

8月2日(火) 上映時間:開場18:30・開演19:00
会 場 :文京シビックホール(小ホール)
会場地図:http://www.b-civichall.com
料 金 :当日1500円・前売り1300円

*前売券はチケットぴあ[Pコード:551-467]、文京シビックセンターにて7月16日(土)より発売開始。*ファミリーマート、セブンイレブン、サンクス店内の発券機でPコードを入力すると簡単にお求めいただけます。詳細は各店舗にてお尋ね下さい。

詳 細 :http://www.littlebirds.net/0802.pdf (チラシ)
主 催 :project Little Birds
お問合せ:info@littlebirds.net

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
全国ロードショー上映中
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7月30日 クウェート到着

クウェートに到着しました。
サマワからは思ったほか、スイスイの道のりでした。

「楽勝、楽勝」と一息ついて、ホテルでBBCワールドのテレビを見たら、
イラク南部バスラで、英国大使館の車が襲撃(路上に仕掛けられた爆弾か)され、
護衛二人が負傷(死亡か?)したというニュースが流れています。

バスラのすぐ近くを通ってきたので、着いてからちょっと怖くなりました。

今回のサマワ取材は、行きは護衛付きで(といっても、彼ら途中でグーグー寝てやがる)、帰りは普通の乗用車で「隠れた」つもりで帰って来ました。

こちらで原稿と、たまったメールの返信を書いて、
明日はアンマンに移動して、なんとか8月2日に帰国できそうです。

このホテル、部屋にLANが入っているというのは確かに便利なのですが、
それだけ余計にやることも増えるということか。

しかし、まずはこれから水以外の飲み物と、シシケバブ以外の食べ物を探しに行きます。
ここクウェートはホテルでさえも、酒は手に入りませんが…。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai

映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
全国ロードショー上映中
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【7月29日=サマワ発 その6】

まことに申し訳ございません。
過去にも何度かやっておりますが、おわびと訂正です。

7月31日に富山で上映会と講演がある予定だったのですが、
私が31日に富山に行くことがほとんど不可能になってしまいました。

こちらでようやくクウェート出国への段取りと手段が整い、きょう(30日)サマワからクウェートに向かいます。その後、アンマンを経由して帰国しますが、どんなに早くても8月2日(火)午後に成田着の飛行機しか乗れません。

すでに関係者の皆さんにはご連絡しましたが、富山の皆様、主催者の皆様、本当に申し訳ございません。私の全責任でございます。当日は映画上映の後、クウェートか、アンマンから、電話でサマワの様子などをお話します。何とぞお許しください。

もう一つは、サマワに着いたその日(24日)のHPに掲載した写真キャプションです。サマワの中心部に去年7月時点であった「こいのぼり」が無くなっていると思って市内の大通りの写真を掲載したのですが、昨日、同じ通りで別のこいのぼりを発見してしまいました。

その写真をここに掲載したいと思ったのですが、どうしてもうまくアップできません。
何度やっても写真がアップできません。いつかなんとか掲載します。

あ~、何ということでしょう。私の確認ミスです。写真説明の部分をおわびして訂正します。この業界でいう「おわ訂」です。お恥ずかしい。

去年見た大きなこいのぼりは無くなっていて、別の小さなこいのぼりが「干からびて」いましたが、間違いなくありました。きょうも一瞬、そのこいのぼりが「焦げたししゃも」に見えてしまったのは、暑さで脳みそと目が腐りかけているようです。

昨日の午後、サマワ市内の食堂で昼食を食べようと思って出かけたら、通りで男性から「タケハラ」と声をかけられました。

「何で俺の名前を知っているんだ?」
「ひょっとして、お前は日本の外務省の現地工作員か?」(笑)
と、一瞬身構えて驚いたのですが、聞いてみるとサッカー選手の「タカハラ」(高原)の方でした。そういえば、初めてここに来た03年11月にも、「ナカタ、タカハラ、イナモト」の名前を聞きました。

もともとは、サマワでも、イラクのどこでも、日本との「友好」関係は良好で、自衛隊が来る前から、いろんな民間人が長年かけて関係を築き上げてきました。

サマワ発電所のスタッフ、ハディ・アリ・チャルプさん(40歳)はこう言っています。
「先月あたりから、自衛隊に対する厳しい声が街で上がっています。なぜなら活動の成果が見えないから。約束を守らないから。サマワと自衛隊の『友好』関係は重要ですが、ちゃんとした活動をしてほしい」

サマワを離れる前に、僕が本当に思ったことは以下です。

「自衛隊員の皆さん、本当にご苦労様です。しかしながら、皆様方600人がサマワにいることよりも、大型発電機600個の方が何よりもサマワに必要です。それがイラクのため、サマワの人たちのため、日本のためです」

このままいくと自衛隊は、見えない「敵」に脅えながら、そして、また新たな「敵」を、サマワ市民の中に少しずつ増やしていくことになるだろう。

クウェートに出国しても、すぐにはブログやHPは更新できないと思います。メールの返信もすぐにはできませんが、ご了承ください。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
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【7月28日=サマワ発 その5】

きょうはちょっと夜遅くまで原稿を書いているため、この欄はお休み。

共同通信から全国の加盟新聞社向けにサマワの記事を配信する予定です
(29日配信予定。30日付けの新聞に掲載される可能性が高いです。全国紙には掲載されません)

そのほかにもいくつか原稿を書かねばならないので、
ブログの更新が今後毎日はできないかもしれませんが、ご心配なく。
いただいたメールの返信も、すぐには送れませんが、ご了承ください。

いつもと同じく、帰国直前がいちばんバタバタあわただしい。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
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【7月27日=サマワ発 その4】

サマワに入って以来、毎日水ばっかり飲んでいる。
バグダッドと違って、お酒は売ってないですねえ。

1・5リットルのペットボトルの水を、一日2、3本は空にする量だ。ほとんどは汗で消えるが、少しはお腹の部分に残るようで、いつもお腹のあたりが「タプン、タプン」と鳴っているような気がする。

さて、昨日(26日)、サマワ市内でサドル派の支持者やメンバーを中心に、500人規模のデモがあった。「電気・水・仕事」の「3点セット」の改善を訴えるデモがこのところ頻発しているが、彼らの怒りの矛先が最近「日本」「自衛隊」に相当向けられている。

ちょうどそのとき、僕は同派の事務所を訪れていて、これからデモに向かう人たちと入れ違いだった。そのデモの撮影に行こうと思ったが、僕の通訳も運転手も「行かない方がいい。あなたが矢面に立たされるかもしれないから危険だ」と言うので見送った。

同事務所代表のムハナド・アル・ガラウィ氏のインタビュー取材のアポを入れていたので待っていたら、デモから帰ってきたメンバーたちが、「あれ、日本人がこんなところにいるじゃないか?」と、こちらを珍しそうに眺めながら、水をがぶがぶ飲んで話しかけてくる。

しかし、ガラウィ氏もはっきり話していたが、彼らは日本人に対して敵意や不信感を募らせているのではない。バグダッド周辺にいる武装グループと違って、無差別に外国人を拉致・殺害することはしない。現段階では、彼らの敵はあくまでもサマワにいる自衛隊だ。

以下の写真のガラウィ氏は言う。

「私たちは、日本人は好きだ。自衛隊を日本の軍隊とはみなしていない。自衛隊はキョイジュミ(小泉)の軍隊であり、米軍の手先だ」
話の途中に何度もこの「キョイズミ」という言葉が出てくる。

これまでも言っているが、「このまま駐留を続ければ、今後我々が自衛隊を攻撃する可能性はある」とはっきりと断言している。だが一方で「まだチャンスは十分ある。軍服や武器を持たずにサマワに来れば、いつでも歓迎する」という。

今年2月にODA(政府開発援助)で設置された浄水・給水場に行ってきた。場所は自衛隊宿営地のすぐ裏手の川の脇にある。

給水車が何台か到着するが、一日に20~25台というレベルなのでかなり少ない。去年7月にリポートしたけれど、サマワ郊外にある公共の浄水場の方がよほどたくさん水を供給している。しかも、ここは誰でも自由に入れるわけではなく、今年2月まで自衛隊の宿営地の中で行っていたときの給水車だけだ。

浄水機械は一見立派なものが設置されているのだが、パイプからの水漏れなど、よくみるといくつか不具合が生じている。地元のスタッフに聞くと、自衛隊員が修理や点検に来たことはないという。「なんとか修理してほしい」と盛んに訴えていた。

以下の写真を参照。

自衛隊の皆さん、皆さんが設置した機械なのですから、たまには設備点検や修理などに行ってあげてください。僕が言うのも何ですが、場所は宿営地のすぐ裏手500メートルぐらいのところです。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
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【7月26日=サマワ発 その3】

サマワに入って以来、まだ自衛隊の宿営地の中には入っていない。実際、外での活動もほとんどしていないから、自衛隊が何をやっているのかよくわからん。

先週ここに滞在していたあの不肖・宮嶋氏でさえも宿営地の前で「門前払い」だったようだ。私も同じ扱いだ。自衛隊が取材させないというよりも、イラク全土に退避勧告を出している外務省からの命令らしい。

実は去年7月も同じことを言われたが、当時は宿営地の中での給水活動の取材・撮影は認められた。しかし今回は一切ダメだ。それよりも、「一刻も早くサマワから出てください」と、宿営地の中にいる外務省の職員から言われた。その後、ご丁寧にわざわざ電話まであった。

しかし、こちらは宿営地の中での撮影はできないが、宿営地の中での「ある出来事」の映像は入手することができた。「入手」というほどのこともない。僕が泊まっているホテルの従業員が教えてくれて、市内のCDショップで売られていた。

先日の「友好協会」元会長の店の爆破事件は、どうやら宿営地での以下の催しが伏線になっている(以下、共同通信の配信記事から)。

 【サマワ25日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで、日本友好協会のアンマル・ヒデル元会長が経営する宝飾店が爆破された事件で、地元ムサンナ州警察当局は二十五日、イスラム保守派の一部が「元会長は日本側の前で地元少女らにダンスを踊らせている」などとして反発を強めていたことを明らかにした。
 警察当局は、元会長の姿勢を「イスラムの価値観に反する」と主張する勢力による犯行とみて、本格的な捜査を始めた。
 警察幹部によると、サマワでは友好協会と日本側による式典の映像を収めたCD約三百枚が出回っており、中には少女らがダンスをしている映像が含まれているという。
 友好協会の式典に出席したことがあるイラク人関係者は「会場で八歳前後の女の子が二―三人、父親と一緒に踊るのを見たことはあるが、問題だとはまったく思わなかった」と証言した。陸自側は、ダンスを強制した事実は全くないとしている。
 サマワでは最近、イスラム教シーア派の反米指導者サドル師支持者らが多数参加したデモで、参加者らがこのCDに言及し「アンマルが何をしたか見てみろ」などと気勢を上げていたという。(了)

そのビデオCDの映像の一部は、以下の写真をご覧ください。

ビデオCDの中に出てくる映像では、上の写真右端にいる女の子が踊っていて、その周りで自衛隊員らが手を叩いていた。その後、柔道着を来た男性隊員が、その女の子を肩に乗せている光景などが映っている。

そしてきょう、サマワのサドル派事務所を訪れた。

同事務所のムハナド・アル・ガラウィ代表は、この事件への関与は否定したが、確かにこの映像を見て怒っていた。ただし、念のために言うと、ほかの市民たちは、この「少女がダンスをしている」ことに対しては特に怒っていないことも事実だ。「結婚式やお祭り行事ではよくある光景」という捉え方をしている人が多い。

しかし去年7月と比べると、このサドル派事務所のメンバーだけでなく、住民の間でも直接的に「自衛隊は出て行け」「もう必要ない」という非難・批判を何度も耳にする。失業中のある男性からは「このままだと自衛隊を攻撃するぞ」とはっきり言われた。去年までは、少なくともサマワでは絶対に聞かなかった言葉と口調だった。

去年まではどちらかというと、「自衛隊が何をしているのかよくわからないが、何かサマワのためにやってくれるだろう」「自衛隊の後に、日本の企業がサマワに来るらしいから…」という幻想や噂・デマの方を信じる人が多かった。

だが、もうそんな「期待」や「幻想」の時期はすでに終わっていた。住民たちも、自衛隊が「電気・水・仕事」の問題を根本的に解決しないことを感じ始めている。

特に怒っているのが、「学校の修復や壁の塗り替え作業など、やらなくていい。そんなことにカネと人を使うな」という声だった。いまも15ヶ所で地元の業者が作業中だが、僕も確かに「別に自衛隊が関わらなくてもいいこと」だと思う。今後この作業は、やればやるほど地元住民から逆に反感を買う可能性が高い。なので、もうやめたら。

それから、地元の人たちと交流行事をするのはいいのだけれど、あまり特定の人・団体を招待して、しかも「宿営地の中」で行うのはやめましょう。ただでさえ、サマワの人たちは自衛隊員の姿を見る機会はほとんどないのですから、こういった宿営地の中での「交流行事」は、ほかの人たちから余計に反感を買う恐れがあります。

ビデオCD映像の中で僕が気になったのは、「少女たちのダンス」の方よりも、わざわざ日本から運んできたいくつもの太鼓を叩いたり、柔道の技を披露したり、立派な楽器をそろえて日本の音楽を演奏したりという「善意の交流行事」だった。そんな一部の人たちへの「善意の交流行事」だけで、サマワの人たちからの支持は得られない。もうそんな段階は終わったのだ。

このままいくと何をやっても、どんな活動をしても、どんな「交流」をしても、逆に誰かからは嫌われて、誰かからは妬まれ、そして自衛隊員も、周囲の地元の人たちも、危険な状況と「敵」を、逆に自ら作り出していかないだろうか。そこがいちばん心配だ。

外務省の皆さんは、僕に「退避勧告」よりも、できればサマワの自衛隊に「退避勧告」を出してほしい。冗談ではなく、切に願う。手遅れにならないうちに。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
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【7月25日=サマワ発(イラク南部) その2】

これは非常に困ったぞ。

詳しくはこれからテレビ、雑誌、新聞などで報告できる機会があると思うので(たぶん。今回はやや不安…)、そちらに譲るが、僕がこちらに着いたその日の夜、事件は起きた。

すでに報じられているように、これまでサマワの「日本友好協会」の会長を務めてきた方の宝石店が何者かに爆破された。

会長のアンマル・ヒデルさんは、私も何度か会ったことがある。去年4月のお店の前の通りは別のHPの写真1を参照。

写真1

横断幕の右下にある宝石店がヒデルさんのお店だった。

きょう午後、そのお店を訪れると、シャッターがすでに閉じられていて、店の前では早くもパン屋が陣取っていた。バグダッドで毎日のように起きている「爆破」とは規模は違うが、シャッター右下の部分に爆発物が置かれていたようだ。同写真2を参照。

写真2

深夜だったのでヒデルさんはいなかったが、2人が負傷したという。

この事件の影響は、サマワの人たちにとっても、僕にとっても、爆発の規模に関係なくとても「大きい」。

きょう朝、さっそくこの事件現場に行こうとしたら、通訳が約束の時間になってもホテルに来ない。後で聞くと、「昨日の事件の直後で、日本人と一緒に行動するのは怖い」という。午後になって別の通訳がようやく来てくれたが、彼も「もう護衛なしでは一緒に動けない。市内でさえも日本人と一緒にいるのは危険だ」という。昨日彼とは市内のレストランで食事をしたり、自衛隊の宿営地を訪れた。そのとき彼は「自衛隊を攻撃するのは一部の連中だけだ。市内は問題ない」と自信たっぷりだったのだが、かなり動揺している。

先週の「DAYS JAPAN」に書いたコラム「無限に拡大する軍隊の『周辺』」が、思いのほか一気に、サマワ市民にも、そして僕の周辺にも近づいてきたような情勢だ。

もちろん、市内の様子に表向きは変化ない。警察官の数や検問は確かに増えたが、それでもバグダッドあたりの状況とは格段に違う。昼も夜も、銃声や爆音も普段は聞こえない。一年前と同じく「カラバ(電気)、マイ(水)、そして失業」の三つが依然として「大問題」として続いている。しかし、日本人に対する視線や意識は明らかに一年前と変わってきている。何よりもう気軽に「ヤバニ(日本人)?」と声をかけてくる人も極端に減った。「よそ者」に向けるような「無言の視線」が、こちらはやはり気になってしょうがない。

以前報じられていたが、以下の写真のこんな掲示板一つでさえも、冗談とは思えない。もともとは自衛隊の活動を紹介する新聞が貼られていた。一年前と今年の、同じ場所の同じ掲示板なのですが…。

同写真3 

04年7月撮影。新聞ははがされて、シーア派指導者たちの呼び掛け文が。

同写真4 

今年7月25日撮影。右上の日の丸の旗にご注目。

自衛隊の活動はもちろんのこと、僕らのような取材活動も、本当にやりづらい。つまり、「自分がここにいることで、地元の人たちが危険な状況に追い込まれていきはしないだろうか」という不安だ。

「周辺」の状況の見極めが非常に難しい。これまでの紛争・戦争取材で通用した「危険度」の計り具合が通用しない。それはロンドンだって、エジプトだって、どこの街でも今後恐らく同じだろう。

戦争の当事者は無限に広がる。「イラク戦争」は、いよいよ「イラク以外」の場所にも拡大していく。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
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【7月24日=サマワ(イラク南部)発 その1】

しばらく更新が滞って申し訳ありませんでした。

 これにはちゃんと訳がありまして、いまサマワにいます。

 ちょうど1年ぶりのイラクになりますが、先週18日からアンマン(ヨルダン)に入り、クウェートを経て、きょう(24日)午後、ようやくサマワに入りました。

 それなりにこっそり、内緒で来るはずだったのが、「ある方面の方」からは「現地でお出迎え」がありました。本筋の話ではないので、その詳細はまた今度。

 こちらに滞在中は、ブログの方で更新しますのでよろしくお願いします。

 こちらは以前と相変わらずというよりも、さらにひどくなったような停電続き。頭にマグライトを巻きつけてこれを書いています。気のせいか暑さもひどくなったようで、日中の気温は先日、「63度」(サマワ陸上自衛隊員の話)を記録したとか!

上から順番に、2003年、04年、05年の、サマワ市内大通りの風景の移り変わりです。


2003年11月のサマワ市内中心部。まだ自衛隊が来る前、「ようこそ自衛隊の皆様」(アラビア語部分には「自衛隊」の文字はなく、「日本人」と書いてある)の横断幕があった。
03年11月23日の項


2004年7月のサマワ市内中心部。横断幕の次は、自衛隊が寄贈したこいのぼりが飾られていた。
04年7月4日の項


そして、今年7月24日午後8時ごろのサマワ市内中心部。涼しくなる夕暮れ時でにぎわう光景は同じだが、もう横断幕も、こいのぼりさえもなかった。

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綿井健陽 WATAI Takeharu
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「記憶の暗殺者たち」の周辺

あす(16日・土)のNHK総合テレビ「おはよう日本」で、映画の紹介がされる予定です。時間は午前7時過ぎぐらいからだと思いますが、はっきりとはわかりません。

NHKでの映画紹介はこれが初めてです。
封切り前から、総合テレビとBSのニュース枠で企画の依頼や取材の打診がありましたが、どれも途中で立ち消えて、結局実現しませんでした。

恐らくこのブログを見てくれている方は、映画をご覧になった方が多いと思いますので、「映画紹介」を告知してもあまり意味はないかもしれませんが、まあ見てください。

さて、いまちょうど来春の中学校の教科書の採択時期を迎えていて、
「つくる会」の教科書が栃木のある市で採択されたという。
http://www.tsukurukai.com/01_top_news/file_news/news_0507013_1.html

市町村レベルでは「初めて」というから、「つくる会」からすればこれは「画期的」なことになるのだろう。しかし、最近の講演などでは何度も話したけれど、「つくる会」の教科書が今年一気に採択率が激増するとは僕は思っていない。あるいは、これからどんどん増えていくとも思っていない。そこまで日本もアホにはなっていないだろう。

しかし、問題は「ほかの教科書」だ。

すでに4月の検定段階で、各社の教科書の「(従軍)慰安婦」の記述は今年はゼロ。「強制連行」だって大幅に減った。10年前はどの教科書にも書いてあった言葉が消えていこうとしている。

これは、たとえ「つくる会」の教科書を採択しなくても、ほかの教科書が「つくる会」のような教科書に近づいていっている動きだと僕は思っている。
このままほっておくと、歴史から「なかったこと」にされて、自然に消えていく。

いまや「つくる会」が直接何か言わなくても、その周辺が同じようなことを言う。
この国の文科相によると、「従軍慰安婦」という言葉はなかったという。
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20050711/20050711ia01-yol.html

あの~、言葉はなくても、実態は事実としてあったんですけど。
当時その言葉があったか、なかったかという問題ではないんですけど。

その実態を当事者の証言から聞く貴重な機会が近々ある。
残念ながら僕は当日日本にいないが、ぜひ参加してほしい。
7月27日(水)東京・有楽町の「外国特派員協会」での記者会見だ。
http://www.fccj.or.jp/modules/eCal/display-event.php?id=1699

同じく20日には「731部隊」の犠牲者たちの会見も予定されている。
http://www.fccj.or.jp/modules/eCal/display-event.php?id=1696

場所は通称「外国人記者クラブ」と呼ばれるが、
フリーランスでも誰でも、事前に予約すれば参加できるはずなので、日本の「記者クラブ」と偉い違いだ。http://www.fccj.or.jp/static/aboutus/contact.php

ちゃんと聞いておいた方がいい。
ちゃんと記憶しておいた方がいい。
ちゃんと受け止めておいた方がいい。

この「つくる会」が設立された当初から、作家・徐京植氏は訴えている。「もはや黙っているべきではない」(「分断を生きる」影書房から)。その本の中にも出てくるが、「記憶の暗殺者たち」(P・ヴィダル・ナケ)が、いま僕らの周辺のあちこちで増殖中だ。

以前も書いたが、そんな動きには、一人で告発する。一人で記憶する。

20日発売の「DAYS JAPAN」には、「無限に拡大する軍隊の『周辺』」というコラムを書いた。
これは別に自衛隊や軍隊だけの問題だけではない。

ことの中心ではなく、その周辺が変わっていく、変えられていく、近づいていく、そしていつのまにか周辺が拡大し、だれもが周辺の内側に組み込まれていくという動き…。

「周辺」というキーワードが僕の頭の中をぐるぐる回っている。

産経新聞が全面広告を出しているのは「当然」だとしても、ここ数日、都内のJR電車の中吊り広告で、やたら目に付くのが靖国神社の「みたままつり」の宣伝だ。http://www.yasukuni.or.jp/event/mitama.html

この国の首相が靖国神社に参拝しようと、しなくても、
連綿として「靖国の精神」「英霊の精神」を引き継ぐ「周辺」の人たちがいるということか。

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8月2日(火)特別上映会とトーク(東京)のお知らせ

8月2日に、ゲストをお招きしての特別上映会を東京で開催します。
ぜひいらしてください。

以下、転載・転送していただければ幸いです。
チラシも以下からダウンロードできます。友人・知人の皆様にご自由にお配りください。
http://www.littlebirds.net/0802.pdf

▼2005年8月2日(火)午後7時~ 東京・文京シビックホール(小ホール)
「日本とイラク戦争の今を語る」
~映画『Little Birds イラク戦火の家族たち』上映とイラク最新レポート~

【トークゲスト】
広河隆一(フォトジャーナリスト・「DAYS JAPAN」編集長)
高遠菜穂子(イラク支援ボランティア)
ほか 
【司会・進行】 綿井健陽(「Little Birds」撮影・監督)

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上映時間:開場18:30・開演19:00
会 場 :東京・文京シビックホール(小ホール)
会場地図:http://www.b-civichall.com
料 金 :当日1500円・前売り1300円

*前売券はチケットぴあ[Pコード:551-467]、文京シビックセンターにて7月16日(土)より発売開始。
*ファミリーマート、セブンイレブン、サンクス店内の発券機でPコードを入力すると簡単にお求めいただけます。詳細は各店舗にてお尋ね下さい。

詳 細 :http://www.littlebirds.net/0802.pdf (チラシをダウンロードできます)
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